SPECIAL EDITION

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②ツイッター、失恋アルバム、歌詞世界と懸念点。/ littlegirlhiaceロングインタビュー

 

*聞き手:ヨシオテクニカ

*編集、文責:ふにゃっち

 

ツイッター

ツイッターを始めた経緯は、どういう?

「元々はバンドの絡みで告知用というかバンドマン垢みたいなアカウントがあったんですけど、それがだんだん窮屈になっていって新しく作ったのが「ふにゃっち(@yakinch)」っていうアカウントだったんです。経緯としては、元々そのバンド用アカウントでもオタクっぽい知り合いと繋がっていて、そういうノリで「ストライクウィッチーズ」というアニメの2期6話を観ながら実況したことがあったんですよね、バンド垢で。そしたらよくライブ観にきてくれてたとあるお客さんから「あなたをリムーブしたくなりました」というリプライが届いてしまい、これはもう別の垢作らないとやってられないな、と」

●そして複数アカウントを持つバンドマンになってしまったと(笑)。その「ふにゃっち」というアカウントが爆誕したのが約10年前の2010年ですが、そのくらいからもうミュージシャンとしてのふにゃっちさん個人の活動も始まったような感じですか?

「いや、最初はただの一人のオタクとしてそこに存在していた感じで、音楽やるつもりは全然なかったです。むしろもう音楽やりたくない、ただただオタクでいたい、くらいの。しばらくそんな感じだったんですが、秋葉原にmograっていうアニソンが爆音でたくさん流れるクラブがあって、そこにDJだったりお客さんとしてよく出入りしてる人たちとふにゃっちというアカウントがいつの頃からか繋がりを持ち始めて。僕もmograにお客として遊びにいったりするようになって。その頃くらいから試しにとらドラ!ってアニメの「オレンジ」って曲とか、けいおん!ってアニメの「ふわふわ時間」とか、アニソンの弾き語りをサンクラに公開し始めて。そしたらその辺の人たちに割とウケて。その流れでそういうアニソンが爆音でたくさん流れるクラブ系のイベントに何度かアニソン弾き語りで出演させてもらったりしましたね。眼鏡かけたオタクっぽい人とかアニメのコスプレした女の子とかがたくさんいて、皆フロアにしゃがんで僕の方を見上げながらオレンジ色のサイリウム振ってて、フロアが一面そのオレンジの光で埋め尽くされてる中で「オレンジ」を弾き語った瞬間っていうのはすごく、冷静に考えるとシュールすぎるんですが、すごく忘れられない光景ですね。「垢消し」はそういう場所で知り合った女の子について歌った曲だったり。まぁそんな感じで2、3年くらいアニソン弾き語りおじさんとして活動してたんですけど、そのうちにだんだんこう、「俺こんな事ばっかやってていいのかな」みたいな不安というか、モヤモヤしたものが生まれて。とりあえず一区切りというか、ここ数年やってきたことの総決算みたいな曲として作ったのが「垢消し」ですね」

●「垢消し」がサウンドクラウドに公開されたのが、2015年2月15日。

「どうしてそういう曲を作ったのかというと、当時ちょっと好きになった女の子がいて。その子はアカウントを消して「垢消し」のモデルになった女の子とはまた別の女の子だったんですが、その人に告白をするにあたって気持ちに区切りをつけておきたいなと思って作ったのが「垢消し」で。結局その子には振られちゃったんですけど、その振られたことによってさらにいくつか曲ができて、っていう」

●おそらくそういう存在がいるのではないかと思っていました。ふにゃっちさんは「君のことばかり歌うのもこれで最後になるだろう」といった感じでずっと「君」という存在について歌い続けていますけど、モデルになった特定の女性が実在しているんじゃないかと。仄めかしというわけではないだろうけど、ある一人の女性の事をずっと歌っているんじゃなかろうかと。

「うーん…ただ、いつも特定の誰か一人の女性をイメージして作ってるっていうわけではなくて。自分が思いを寄せてうまくいかなかった、そういう女性が過去に何人かいて。そういった女性たちのイメージが重なり合って生まれた統合体みたいなものが自分の中で一つの女性像として存在していて、それを歌詞の中では「君」として扱っている感覚が結構あるかなぁっていう。その「君」の中には例の高校時代の梓ちゃんも含まれていると思うし。そういう書き方をした最初の歌詞が「垢消し」だったっていうか。もう「垢消し」を作った時点ですでに特定の個人ではなく、複合体みたいになった女性像を想定して書いてるって感じでしたね」

 

失恋アルバム

●アニソンを弾き語ったりしてきたそれまでの数年の活動を総括する曲でもあり、その後の歌詞において重要なモチーフとなっていく「君」という複合的な女性像が最初に登場した作品という意味でも「垢消し」は重要な曲というわけですね。

「当初の予定としては「垢消し」を作った勢いで、失恋ソングばかり収録した「失恋アルバム」みたいなものを一枚リリースして、ふにゃっちとしての活動をそれで終わらせようと…何かを終わらせようと(笑)考えてたんですけど。そのはずがなんか、失恋アルバムに収録するには歌詞の内容的にふさわしくないテイストの曲…「リトルガールハイエース」みたいな曲ができたりして。なおかつそういう曲が割とウケてしまったので、失恋アルバムを出す前に、それに収録できない曲をまとめて先にリリースしてしまおうと思って作ったのが「リトルガールハイエースEP」だったんですよね。で、そうこうしてる間に「エリカ」とか「前川」みたいな失恋アルバムにふさわしくない曲がさらに増え続けて、失恋アルバムに収録できなそうな曲を先にまとめてもう一枚出しとこうと思って作ったのが「エリカEP」で。そうこうしてる間に「リベンジポルノ」とか「アンファッカブル」みたいに失恋アルバムにふさわしくない曲がさらにさらにできてしまったので失恋アルバムに先駆けてリリースしたのが…」

●「アンファッカブルEP」と「リベンジポルノEP」というわけですか(笑)。その「失恋アルバム」というのはまだ制作途中?

「全然できてないです。というか制作途中のまま半ば放置しちゃってますね…。失恋アルバムは、いつかふにゃっちとしての活動を終わらせるタイミングでリリースできたらな、くらいに思ってます」

●これまでリリースしたEPやアルバムの中にも「失恋のかけら」とも言えそうな曲がちょいちょい収録されてますけど、じゃあそういったリリース済の楽曲群とは別に「失恋アルバム」というラスボスが控えているような状況なんでしょうか。

「出すからには最高の失恋アルバムとしてリリースしたいとは思ってますけど、なかなか。もう一回くらいリアルに失恋しないと完成しない気がしますね(笑)。アルバムタイトルはもう「Air Reply」で決まっていて、以前サンクラに弾き語りデモとして公開した「Air Reply」という曲とか「垢消し」のバンドバージョンを収録する予定ではいます」

●そのアルバム、聴いててしんどくなりそうな名盤になることを期待しています…(笑)。つまり、失恋アルバムのカラーに合わなそうな曲を先にリリースし続けていたら、むしろそっちが活動の本流になってしまったような状況というわけですね。とはいっても、さっきも言いましたけど例えば「S.W.S.」とか「メモランダム」みたいに、明らかに失恋ソングと思われる曲であっても失恋アルバムに収録されることなくもうリリースされちゃってるじゃないですか。あれを上回るような名曲しか失恋アルバムには収録されないという事なんでしょうか?

「そういうことではなく、やっぱり新しく作ったものは早く聴いてもらいたいって気持ちとか、一枚のEPなりアルバムとしての構成や流れを考える上で「ここに失恋ソング入れたいなぁ」みたいな状況があったりするので、やっぱりそういう時はもったいぶらずに失恋ソングを収録しないとなぁっていう。そうやって結局、失恋アルバムの完成がどんどん先延ばしされていってるわけでもあるんですけど」

●「僕が先に好きだった」は失恋アルバムとはまた違う流れの曲ですよね。

「あの曲の主人公は僕本人ではないので、違う流れですね。歌詞の端々に自分の実体験を織り込んではいますけど。あの曲の主人公は僕みたいな性格で僕みたいな人生を歩みつつある、もっと若い人ってイメージですね。大学生くらいか社会人なりたてくらいの」

●ふにゃっちさんの歌詞には3つの流れがあると思っていて。①個人的な実体験に基づく曲、②アニメや美少女ゲームなどから題材を拝借した二次創作的な曲、③実体験でも二次創作でもない完全なフィクションとして作り出された曲、みたいな。例えば「垢消し」や「ギブ」は個人的体験型、「エリカ」や「前川」なんかは二次創作型、「リトルガールハイエース」、「サテラ」、「南行き」、「星をおとす」などはフィクション型、という感じで。「mai」は…実体験型ですよね(笑)。まさか尿管結石があれほどの名曲になるとは、あれはあれで語りつくせないものがあるんですが。ふにゃっちさんの曲はこの3つに分類できると思うんですけど、ご本人的には意識して作り分けているところはあるんでしょうか?

 

歌詞世界と懸念点

「うーん…(考え込む)。ただ、どの曲についても100%実体験だけ、とか100%フィクションだけということはないと思ってて。自分の実体験に基づいてるものであっても、歌詞として、お話として成立させる上で脚色だったり嘘を交えたりっていうところはあるし。逆にフィクションとして書いた歌詞の中にもリアリティを帯びさせるために僕や僕じゃない誰かの実体験を意図的に織り込んだり、もしくはそういうものが意図せずに滲み出しちゃってたりっていうのはあると思うし」

●なるほど。それは二次創作型の曲についても言えそうですね。例えば「エリカ」や「アカネ」みたいに、アニメの女の子の名前をタイトルに持ってきてるような曲であっても、いつのまにか主人公がふにゃっちさんそのものと化してる瞬間があったり、もしくはアニメの女の子を歌っているように見えて、いつのまにか例の統合体としての「君」を重ね合わせてしまっているのかもしれないなっていう。

「だから3つのタイプにかっちり分かれるっていうよりは、ちょっと現実とフィクションの境目が曖昧になってるっていう感覚はあるのかなって思います。現実と嘘の配分が100かゼロかではなくて、その間にグラデーションがある感じというか」

●3つの世界にはっきり分かれているっていうよりは、ただ入り口が3つに分かれているだけで、内部へ分け入っていくにつれて最終的には同じ場所にたどり着いてしまうような感覚はあるかもしれないですね。フィクションとか二次創作っていう話の流れで、ふにゃっちさんにはアニメやゲームをモチーフにした曲がたくさんあって、そこも多分ふにゃっちさんの人気の理由だとは思うんです。原作を知ってる人はより深く楽しめるような。でも、だからと言って、そういう部分で聴き手を狭めていないっていうか、歌詞のモチーフになったアニメやゲームの作品を知らない人でもそこで置いてけぼりにならずに聴けてしまうのがすごいなって思います。僕が最初に聴いたふにゃっちさんの曲は「エリカ」で、「そのアニメ知らんし、そのキャラ知らんしな」って思いながら聴いてみたんですけど。そしたら普通に曲が良くて声も良くて演奏もかっこよくて、ただのかっこいいロックな曲じゃないかって思ったっていうことが実際にあったので。

「変に内輪ノリにはしたくないというか、分かる人しか楽しめないものじゃなくて、分からなくても全然楽しめる上で、分かってたらもっと楽しめるかも、みたいなものを作りたいなとは思ってますね。僕の曲をきっかけに元ネタのアニメやゲームに触れてみたって言ってくれる人が割といて、それはすごく嬉しかったりしますし」

●ただ逆に懸念点として、「エリカって誰よ?知らんわ」ってなった時点でふにゃっちさんの音楽を聴かずに終わってしまう人だっていると思うんですよ。そういう形で聴く人を選んじゃってるところはあるのかなっていう。

「そういう人は少なからずいると思います。あとは僕のツイッターでの言動とか。ああいう感じでツイッターやっちゃってる人がやってる音楽なんて聴くに値しないでしょって思われちゃってるのかなぁってところも全然あるし。littlegirlhiaceってアーティスト名に抵抗を感じて聴いてない、または聴いてるって公言できないっていう人もチラホラ見かけるし。それは客観的に見れば当たり前の感覚だと思うし。例えば自分がもうちょっと違う人生送ってて普通に音楽が好きな人だったとして、今の僕みたいな存在を知ったとしたら普通に人間性を疑っちゃうと思うし、そんな人の作った曲を聴こうとは思わないだろうし、それ以前にたぶん関わり合いにならないようにすると思うし(笑)。だからアニメがどうこうっていうより、その人が僕の音楽のために自分の限りある時間だとか気力とか労力を割いてもいいって思ってくれるかどうかっていう話だと思うんですよね。それを踏まえた上で何ができるかって言えば、今までどおり俺はただ俺のまま、音楽もツイッターもやり続ける事しかないなと思ってて。それがいちばん誠実というか。その結果、多少なりとも僕に興味を持ってくれて曲を聴いて良い曲だなって思ってくれてる人たちがいてくれてるのであればそれは本当に感謝の気持ちしか湧かないし、ありがたい事だとしか言えないです」

●例えば「ふにゃっちの音楽は好きだが、センシティブな要素のある彼のツイッターは受け付けない」っていう人だっているかもしれないっていうことだよね?

「そういう人がいてもいいと思ってるし、そうやってツイッターと切り離して楽しむ事ができる音楽だと思ってるし、実際そういう人が一定数いるとも思ってて。(考え込む)…ただ、本当に音楽を突き詰めてやっていくのであれば、僕はツイッターを辞めるべきなんですよね」

●ふにゃっちさんのツイッターって、littlegirlhiaceという音楽の宣伝というか入り口としても機能していると同時に、本当ならふにゃっちさんの音楽のリスナーになってもおかしくない人たちをふにゃっちさんの音楽から遠ざけてしまってる逆効果な部分があるとも思うし、本当に諸刃の刃すぎるというか。そこがちょっと勿体無いなって思う部分もあるにはあるんですよね。

「そこは問題点として、ひしひしと感じています」

●ああいうツイートやリツイートをすることで聴き手をふるいにかけて入り口を狭めちゃってるというか。ただその一方で、そういう日頃の言動も含めてふにゃっちさんというミュージシャンが好きだっていう人だって一定数いるはずなので、本当に難しいところはあると思うんですよ。でも本当に、アニメやセンシティブな部分きっかけじゃなくふにゃっちさんの曲を聴いた人に対しても音楽としてぜんぜん通用するだけの力をあなたは持っていると思うし。「エリカ」とか「前川」とか、本当に良い曲書くから。だから音楽を本気でやるなら極端な話ツイッターを辞めるべきだっていうのも考え方としては全然あるよな、とは思ってしまいました。

「ただ前提として、ミュージシャンが宣伝やコミュニケーションの手段としてツイッターをやってるっていう感覚ではなくて、ツイッターのオタクが何故か音楽をやってしまってるっていう感覚はずっとあって。だから音楽を優先するあまりにツイッターでの立ち居振る舞いを改めたり辞めちゃったりするのは違うというか、嘘になっちゃうというか。なんていうんですかね…自分とっては音楽もツイッターも自己表現という意味では同じところから生まれてきているというか。どちらも等価値というか。同じ魂を分け合っているというか。ああいうツイートを自己表現と言っちゃうとちょっとアレなんですけど(笑)。もしくは音楽もツイッターも生活だったり人生の一部…ツイッターを人生の一部と言っちゃうとアレなんですけど(笑)。音楽辞めろって言われたら困るのと同じくらいツイッター辞めろって言われたら困ると思うし」

●普段ああいうツイートしている人が、ツイッター上の人格と歌詞の中での立ち居振る舞いにほとんどギャップがなくて、それでもなお素晴らしい音楽として成立してしまっているというのはある意味すごいですよね。でもツイッターと音楽どちらもふにゃっちさんにとって必要不可欠なものであって、自己表現という意味ではなにも違いはないという認識に立てばそれも納得というか。あとは例えば「尿管結石つらい」とか「水をたくさん飲む」みたいなツイートしてたのが最終的に「mai」みたいな美しい歌になっちゃうんだ、みたいな(笑)。そんな風にしてツイートが音楽になったり逆に音楽がツイートになったりっていう、そういう面白さみたいなものがふにゃっちさんにはあるのかなって思います。連動型コンテンツっていうか。

「それもミスチル桜井の影響というか、たとえば不倫してる時はちゃんと不倫の曲を作ってて偉いなっていう…人間としては割とクズな行為なので偉いとか言っちゃダメなんですけど(笑)。でもそれはそれである種の誠実さとも言えるし。あとは脳梗塞で倒れた数年後に作った曲の中に偏頭痛を薬でごまかす描写が出てきたり。ここ数年は死だとか老いっていうヘヴィで逃れようのないテーマに正面から向き合おうとしててエキサイティングだし。作品と人生が連動してる感じっていうか。僕は音楽と人生とツイッターが連動してしまってるところがあるから、そう見えるのかもしれないです。だから僕のツイートや音楽に対して割いてくれる時間やエネルギーが多い人ほどより深く楽しめるような状況になってるのかもしれない。逆に僕に対してそういう労力を割くのを惜しいと感じるような人からすれば「なんだコイツ?よくわからんし近寄らんとこ」みたいになるんだろうし。だったら他のやつ聴くわってなるんだろうし。それはそれで理解できるし。だからそういう意味では、僕の音楽は聴き手に要求する負担みたいなものが他のミュージシャンよりも大きいのかもしれないですね。その結果としてリスナー層を狭めちゃってるっていうのはあるのかもしれないです」

●それは意識的に狭めてるというより、結果的にそうなっちゃってる感じ?

「なっちゃってる感じですね、だから、もうちょっとだけリスナーの間口を広げたいなぁって気持ちはあるんですけど。でも例えば音楽ニュースとかで取り上げられちゃって僕の力ではコントロールしきれなくなっちゃったりするのはちょっとしんどいなって思うし。おそらく現状としては教室の隅っこで「おもしれー」つってこっそり回し読みされてるような楽しまれ方をされていると思うんですけど。どうやら僕の音楽は人前で「好き」って公言しづらい何かがあるみたいなので(笑)。こっそり回し読みされる教室の数が今は1つ2つくらいなのが5つとか6つとか増えてくみたいな広がり方が理想というか。体育館みたいな場所で表彰台に立たされるみたいな感じは困るというか。そもそもメインで活動していたバンド界隈から逃げてきてこっそり活動しているようなニュアンスなので表立った場所では活動しづらいっていうのもあるし」

●最初はバンドキャンプでのリリースが主だったのが、近年では音楽サブスクリプションにも登録したのもそういう間口を広げたいっていう思いがあったんでしょうか。

「そうですね、それもあるし…。僕は自分の曲が好きで、よく聴いてるんですけど、バンドキャンプだとストリーミングで再生すると一曲終わるごとにいちいち次の曲の再生ボタンをクリックしないと再生が止まっちゃってアルバムとかも通して聴けないんですよ。だから通して聴けるようにサブスクに公開したっていう」

●自分で聴く用だったんですね(笑)。

「それはまぁ半分冗談として。実際サブスクきっかけで知ってくれた人もいただろうし、サブスク始めた意味は多少なりともあったんじゃないかと思います。あとは、バンドキャンプだと僕は全曲無料でダウンロードできる状態でリリースしてるんですけど、サブスクだと微々たる金額ではあるにせよ聴いてもらえた分だけお金が入ってくるっていうのは大きいですね。やっぱりお金もらえるとモチベーション上がるんだなっていう」

●バンドキャンプは音源の値段をアーティスト側が設定することもできるんですが、なぜ無料でリリースしているんですか?

「自信がないから。音質だったり歌ってる内容的に、有料にしたら誰も聴いてくれないんじゃないかなっていう恐怖心というか心の弱さがあるんですよね。たぶんあんまり自分の音楽やリスナーのことを心から信頼できていないんだと思います。でも投げ銭みたいな料金システムだってあるわけだし、その辺はちゃんと向き合って、考えていかないといけないなとは思っています」

●あとは、曲をリリースしたらマメに告知してて偉いなって思います。

「そうですかねぇ…。そんなにガンガン宣伝してるつもりはないですけどねぇ。やっぱりリリースしたからにはある程度は聴いてもらいたいという気持ちはあるので宣伝はしますけど。でも宣伝しすぎて「こいつウゼえな」って思われちゃったらアレだなぁっていうのもあるし。そもそも僕はミュージシャンとしてツイッターやってるわけでもないから尚更(笑)。なのでその辺のさじ加減みたいなのは悩ましいところはあるんですけど」

(続く)